ラボグロウンダイヤモンドとは
日本ではまだ一部の方々にしか知られていないラボグロウンダイヤモンド。実はここ数年の間に欧米を中心とする海外では天然ダイヤモンドの新しい選択肢として選ばれています。ラボグロウンダイヤモンドについてや天然ダイヤモンドとの違い、注目されている理由について紹介します。
ラボグロウンダイヤモンドについて
ラボグロウンダイヤモンドとは、研究所(ラボラトリー)で製造されたダイヤモンドです。しかし、天然のダイヤモンドと全く同じ化学成分・性質を持ち、生成過程が異なるだけでその美しい輝きに変わりはありません。別名は、合成ダイヤモンドです。
ラボグロウンダイヤモンドは、アメリカ連邦取引委員会によって、本物のダイヤモンドであることが認定されています。この認定をきっかけとして、ラボグロウンダイヤモンドは普及し始めました。
アメリカやヨーロッパにおいて、ラボグロウンダイヤモンドの市場は急激に拡大しています。アメリカのリサーチ企業であるTenorisの調査結果によると、2022年のアメリカ国内におけるルース(裸石)ダイヤモンドの販売金額シェアのうち、およそ20%をラボグロウンダイヤモンドが占めていることがわかりました。
参照:When Will Lab-Grown Diamond Sales Surpass Naturals?
ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドの違い
ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドの大きな違いは、その生成過程です。ラボグロウンダイヤモンドは研究所で生成され、天然ダイヤモンドは自然の力で生成されます。
どちらのダイヤモンドも化学成分や性質は全く同じです。そのため、プロの鑑定士であっても肉眼では識別することができません。専用の機械を使用すれば、ラボグロウンダイヤモンドか天然ダイヤモンドかを判別できます。
ラボグロウンダイヤモンドが注目されている理由
ラボグロウンダイヤモンドが注目されている理由は、以下の4点です。
- 環境への負担が少ない
- エシカルである
- 不純物がほとんど含まれていない
- 価格
それぞれの理由について説明していきます。
1. 環境への負担が少ない
ラボグロウンダイヤモンドは環境への負担が少ないことで SDGs への関心が高まる近年人気が高まってきています。
ラボグロウンダイヤモンドは、地球の採掘を必要としないことで地球環境に優しく、生成過程で消費する電力によって発生する二酸化炭素は、天然ダイヤモンドの採掘で排出される二酸化炭素と比べて僅かだと言われています。
2. エシカルである
エシカルとは、直訳すると「倫理的」という意味です。人や社会、地球環境に配慮していることを意味します。
ラボグロウンダイヤモンドは研究所で製造されるため、児童労働や過酷な労働環境、そして映画化もされている「紛争ダイヤモンド」とは無縁です。そういった社会問題を解決するエシカルな側面も、ラボグロウンダイヤモンドが注目を集めている理由の一つです。
3. 不純物がほとんど含まれていない
ラボグロウンダイヤモンドは、研究所のコントロールされた環境で育つため、窒素などの不純物をほとんど含まずに製造可能です。
不純物をほとんど含まないダイヤモンドは Type 2 と分類され、天然ダイヤモンドでは世界で2%しか存在しないと言われています。無色のラボグロウンダイヤモンドはすべてこの Type 2 に分類され、透明度の高い希少な輝きを放つことができます。
4. 価格
天然ダイヤモンドと同じ品質で価格を抑えられる点から、ラボグロウンダイヤモンドは大きな注目を集めています。
天然ダイヤモンドと比べて約1/2〜1/3の値段で購入できるのは、ラボグロウンダイヤモンドの大きな魅力です。予算が決まっている場合、ラボグロウンダイヤモンドを選べば、より高品質で大きなダイヤモンドを見つけられるでしょう。
ラボグロウンダイヤモンドの認知度
アメリカやヨーロッパを中心にラボグロウンダイヤモンドの人気は近年急増しており、アメリカでは約10人に8人がラボグロウンダイヤモンドを認知していると報告されています。
一方で、2023年10月に KYRAH が国内にて125名に実施した調査によると、ラボグロウンダイヤモンドを知っている方はそのうちわずか16名(12.8%)でした。
欧米と比べるとまだ認知度は低いものの、ここ数年で国内でも首都圏を中心に認知は拡大しており、今後も天然ダイヤモンドの新しい選択肢としてさらに広がっていくだろうと想定しています。